RECORDING 今昔物語
1. Prologue
2015年、早くも21世紀を15年も過ぎてしまった。
私もレコーディング・エンジニアにトラバーユして早くも34年の月日が経つのに驚かされる。
最新のシステム等を列挙していくのは吝かではないが、激動の録音現場の変容をお伝えするのも私の役割の一つと考え、年代、世情と共に変化していく音楽視聴形態を音楽録音業界の内面をも交えて諸々書き綴ってみたいと思う。
機材面の変貌も物凄いが、それを扱って無形ながら素敵な「音楽作品」を作って行く楽しみも日々日替わりの一途だ。レコーディングスタジオの使い方も時代と共にかなり変化しているように思う。勿論、製作に携わる人間達の変化もかなり激しい。業種としての変化も多い。
1970年代をちょっと振り返ってみようか…。
時はアナログ全盛期、携帯電話はまだ皆無の時代だ。スタジオ・アシスタントは外線からの電話応対も大事な仕事の一環だった。ファックスで送られてくるスコア等の五線紙は波打っていて音符が泳ぎまくって解読が大変だった。パソコンはMacも含めまだまだ高嶺の花で、一部のマニアックな方だけが扱える魔法の箱。私も奥手で斜めに眺めていただけだった。
通勤通学で音楽を聴くための画期的な「ウォークマン」は1979年に発売され、LPレコードからカセットテープに落とし込んで聴きまくったものだ。それまでは「カセットデンスケ」と呼ばれるかなり大型の録再機を抱えて電車に乗った学生時代だったな。
ヘッドホンも小型のモノは無く、オーディオ用のでっかいヤツを持ち運んでいたのでかさばると言ったら無い…。
手軽に運用出来たのはバンド時代から愛用した「サンヨーU4 ラジカセ」これはかなり使いまくって昨今までスタジオでもローエンドモニターチェック用として頑張っていた。
メディアとしても、この時代のアナログ・カセットテープからCD、MD、DAT、とデジタル化は日進月歩が続いていく。
プロ・レコーディング現場もアナログ・テープの6mm、モノラルからステレオに。マルチテープも2インチ8ch、16chから24chへ。そして、デジタルマルチSONY 3324の台頭からパソコンを用いてのDTM録音。デジタル化の波は留まることを知らない激動の20〜30年だ。
この辺りをスタジオ現場を通して気ままに書き綴る「レコーディング今昔物語」
執筆開始!乞うご期待!!